さわだより2018年新年号「幼児期の運動神経を伸ばす方法」

さわだスポーツクラブ会報誌 さわだより

さわだスポ-ツクラブでは、子どたちが、生き生きとした未来を送るための土台づくりに貢献したいと願っています。運動の楽しさを知り、主体的に動く子どもたちに育っていってもらえたら嬉しく思います。
さて、今回のお知らせは、保護者のみなさま方にクラブの取り組みや考えの一旦を知っていただければとの考えでつくったものです。ぜひ、ご一読ください。

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子どもが自信を持てるかどうかは、その子の能力次第だと思われがちです。しかし、周りの大人の関わり方の工夫が、自信を持つことや、取り組む対象を好きになることにつながります。子どもの自信を育む接し方について、保護者のみなさま方にも実践していただける方法を、ご紹介したいと思います。

子とも時代に受けた体育指導が
運動へのコンプレックスに

ある女子学生のレポートより(一部抜粋)

私は、4歳ぐらいまでは外で遊ぶことも多く、体操教室に通っていたこともあるくらい運動が好きだった。しかし、私の通っていた幼稚園では、「縄跳び合格証」と「腕立て合格証」という行事が2、3ヶ月に1回くらいのペースで行われていた。一定の基準をクリアーしなければ卒園させてもらえないと言い聞かせられていて、出来ない事が出てくるとだんだんと体育・運動が好きでは無くなっていった。
月に何度か園にきていた体育指導の先生も達成主義であり、苦手な運動の日は半泣きしながら登園していたと記憶している。
小学校に入学し体育の授業を受けてからは、さらに体育が嫌いになった。先生からの「できないならやらなくていい。」、「どうしてできないんだ。」、「運動神経が悪い。」などの言葉は、幼かった私のやる気を奪っていった。
その後10年以上たった今も運動にコンプレックスを持ちなるべく避けて通っている。

このレポートは、保育者養成の専門学校に通う女子学生が、幼児体育の講義で提出したものです。彼女は、子ども時代に受けた体育指導によって、運動が嫌いになってしまったとのことでした。

弊社は40年以上にわたって子どもの体育指導を行うとともに、子どもの「心」の成長について研究してまいりました。そして、体育指導をはじめ、教育や周りの大人の接し方が、子どもの自信に大きな影響を与えることを確信するようになりました。

幼児期に得た「達成感」は、子どもの自信になり、向上心につながります。そのような経験をしてもらえるように、子どもたちをその気にさせる働きかけや、適切なアドバイスをすることは、指導の上で重要です。

しかしここで、気をつけたいことがあります。「できた」というのは、跳び箱が跳べた、逆上がりができたというような、「挑戦して、成功した」とうものに限りません。跳び箱を跳ぽうとした、逆上がりをしようとしたといった、「挑戦した」ことそのものも「できた」ことのひとつなのです。

私たち大人はつい「成功した」ことに注目して子どもを褒めがちです。しかし、勇気を出して小さな一歩踏み出し、「挑戦した」ことを褒めてあげるとどうでしょう。子どもは、「できるかできないか」に関わらず、自信をもって、取り組む対象を好きになることができるのです。

子どもは本来、好奇心の塊です。自信さえあれば、興味をもったことに進んで挑戦したいと思うものです。大人が教えすぎず、ほどよいヒントを与えてあげる。そして、小さな一歩を褒めてあげる。そうすることで、子どもが自ら気づき行動する力が、自然と育まれていきます。その中で得られる成功体験は、より大きな自信につながります。

さわだスポーツクラブでは、子どもの自信の芽をつぶすことがないよう、挑戦することを励まし、主体的に動ける心を育てることを大切に、体育指導に当たるようにしています。

保護者のみなさま方もぜひ、子どもが「挑戦した」ことを子どもと一緒に喜んであげてください。安心して取り組める環境が子どもの「好き」を支えます。「好き」であることは子どもの可能性を大きく広げます。

運動が好きになるよう子どもの
「正の連鎖」をサポートしたいですね

TOPICS2 生まれつきだとあきらめないで
運動神経は伸ばせる!

保護者の方から寄せられるこ相談の中でも特に多いのが「うちの子運動神経悪くって…。」といった、運動神経についての悩みです。そこで、運動神経ってそもそも何?という解説とともに、こ家庭で取り組める運動あそびをご紹介します。

運動が発現するメカニズム

運動の繰り返しで 運動神経は発達します

図をご覧ください。これは、人が刺激を受け取って運動を起こす一連の仕組みを表したものです。

まず、外部からの刺激を受容器で受け取り、情報が知覚神経系を介して脳に届きます。そして、脳が運動神経系を介して実行器(筋肉)に「動け」という情報を出します。さらに、運動を起こしたことで、フィードバックとして新たな刺激が発生します。これら一連の情報を伝える道となるのが、運動神経と呼ばれるものです。

運動神経の発達に深くかかわっているのが、運動の際に発生する「フィードバック」です。フィードバックによって正しく運動できたかどうかを脳が学習し、次の運動でより精度の高い情報を伝えることができるようになります。

つまり、指示を聞き、手本を見て、考えて、手や足を動かす、このようなことを繰り返し、経験をフィードバックし蓄積していくなかで、運動神経は向上していくのです。

運動神経の発達において、6歳ぐらいまでを、プレゴールデンエイジ、12歳ぐらいまでをゴールデンエイジと呼びます。それくらい幼児期は、今後の運動能力を左右する大切な時期なのです。生まれつきだからとあきらめず、子どもと一緒に体を動かしてみましょう。

運動神経を伸ばすあそびのススメ

子どもがすでに慨れ親しんでいるあそびにちょっと工夫を加えてあげるだけで、運動神経はますますアップします。
なじみのない動作を繰り返し行っていくと、のちのち似たような場面に出くわした時に、対応できるようになります。ご家庭で実践してみてくださいね。

ケンパー

最初の「ケン」は右足で、次の「ケン」は左足でやってみましょう。「ケン」の足を左右交互に出していくのです。単純そうですが、年長さんでもはじめは戸惑ってうまくいきません。しかし、繰り返していくうちに運動がスムーズになっていきます。

ケンパー

じゃんけん

じゃんけんをするときに、はじめは利き手、次は反対の手を出します。利き手でない方は、スムーズに手が動かないものです。でも、繰り返していくうちに徐々に滑らかな動きになっていきます。

じゃんけん

運動嫌いになる前に!
さわだスポーツクラブのABCプログラム

さわだスポーツクラブ独自のABCプログラムは、子どもの脳と運動の関係性に着目して開発した、サーキット運動です。様々な運動体験・汗をかくほどの運動量・バランスのとれた基本的な運動スキルが、楽しく取り組む中で自然と確保できます。
はじめはうまく自分の身体をコントロールできずに、眉間にしわをよせ、小首をかしげる子どもたち。
でも、繰り返して運動しコツをつかむと、一瞬にして弾けるような笑顔に大変身します。